ラブソングは歌の主人公になる

「ハロー！プロジェクトを卒業する前の2019年にソロでライブをさせていただいたんですけれど、そのときにいただいた楽曲がまだ音源化されていない状態だったんです。だからその楽曲が音源化できるといいな、と思っていて。さらにソロになってからのシングル楽曲が加わり、今回1stアルバムが完成しました。“宮本佳林とは？”といった、名刺代わりみたいな感じのアルバムになったと思います」

　前半は同世代に向けたメッセージ性の強い楽曲がならぶ。

「2曲目の『自分ファースト』を書いてくださった中島卓偉さんは昔から私のことをわかってくださっている方なんです。私は自分が楽しいよりも、みんなが楽しんでくれることを考えがちで。でも、まずは自分を大切にしないと、人を楽しませることも愛することもできないよ、ということをメッセージとして入れてくださったのかな、と感じています。だからそういうところを聴いた人に伝えていきたいですね。今は声を出せないので、お客さんにクラップをたくさんしてもらう楽曲になっています」

　宮本さんは「自分ファースト」になるには、どんなことを大切にしたらいいと考えているだろうか？

「今はSNSが発達してきて、自分の中身ではなく、外に何を発信したかで評価を得たくなりがちじゃないかな、と感じます。でも自分が目標に向かってどれくらい頑張れたかとか、そういうところにも目を向けて、生活していけたらいいな、と個人的には思います」

　アルバムの中盤は恋愛曲が続く。ラブソングは歌詞に共感するというより、歌の主人公そのものになる、という宮本さん。

「私は基本、作品に対しては俯瞰で見るんですけれど、自分がパフォーマンスする際はあえて感情移入して、体の状態を感じながら歌っています」