まだ30歳になってないんだっけ!?

　物語の後半、高橋さんと雨の中で殴り合う場面は、観る人の胸を熱くするシーンでもある。

「あのシーンは僕自身もとても印象に残ってます。撮影が12月で本当に寒くて、そんななか、雨を降らして撮ったんですけど、そういう意味でも大変だったし、寡黙な父親が自分の本音を吐露する大事なシーンだったので、気持ちが途切れることなく、僕のなかでは克実さんから役として、いろいろなものを受け取ることのできたシーンでした」

　この作品をどんなふうに観てほしい？

「“え、こんなに事件が起きるの？”っていうくらい、深刻なものからクスッと笑ってしまうものまで、とにかくいろいろな事件が起きます（笑）。ファンタジー感もありながら家族の愛の部分は心が温かくなるので、この作品を観終わったあと、実家に帰りたくなったり、自分の大切な人の顔を見たいなって、そういう気持ちになってくれたらうれしいです」

　今作は、福岡県大牟田市協力のもと撮影が行われた。JUNON読者はご存じの通り、白洲迅＝ラーメン好き（笑）。ロケ地の大牟田市でも、ラーメン三昧の日々だったそう。

「ラーメンばっかり食べてました（笑）。大牟田ラーメンというのがあって、お気に入りのお店を見つけて通ってました。あと大牟田市のみなさんが豚汁を出してくれたり、有明海苔を巻いたおにぎりをにぎってくださって、それが本当においしかったです」

　食べ物つながりで言うと、この秋は燻製器で燻製を作ってみたいという夢も。

「キャンプ好きは相変わらず続いているので、今年の秋は、桜チップで燻してベーコンや卵、チーズなどいろいろ燻製を作って食べてみたいですね」

　そして、11月1日には30歳を迎える。今の心境を聞くと、「特に何も変わらずです」と穏やかな笑みを浮かべながら答えてくれた。

「29歳になりたてのときのほうが、もう少しで30歳になるんだって思ってましたけど、逆にここまで近づくと、“あれ？　自分まだ30歳になってないんだっけ？　あ、なってないのか”くらいの感覚です（笑）。これから幅広い役がもっとできるように、良い年の取り方をしていきたいなと思ってます」