Ｑ.撮影現場で思い出に残っていることはなんですか？

北村　それはもう映画の冒頭の１シーン目じゃないですか。

中川　１シーン目ですね。

北村　15分ワンカット。

中川　長回しで15分。

北村　朝までかかったもんね。

中川　かかった。俺は、匠海より早く終わったけど。

北村　そして、それが撮影の最後の日だったんだよね。

中川　匠海が演じた〈僕〉の頭の中というか。彼が書いている、なんていうの？あれ。

北村　ケータイ小説。

中川　そう、それ。〈僕〉の頭の中を表現したシーンが冒頭にあるけど、それはもう本当にすごいですよ。撮影はものすごく大変だったんですけど。映像もカッコいいし、なかなか勝負してる。

北村　ね、チャレンジだよね。

中川　ほかでは観られないです。だから、映画が始まって、お客さんたちは「これから何を観せられるんだろう？」って思うんじゃないかな。「え、これずっとこんな感じなの？」って(笑)。

北村　映画的ではあるけど、その1シーン目、あの15分がこの映画の何を表してるのかって、たぶん本当に全部見終わったあとじゃないと、わかんないというか。

中川　のちのちわかるみたいなね。

北村　そうそう。のちのちわかるんだけど、あのワンカットにこの映画の全部がつまってるような感じがします。

中川　匠海とふたりのシーンは意外と少なかったんだけどね。

北村　そうそう、からみあわないんだよね。

中川　葬式の帰りと、銭湯のシーンも長時間撮影して。

北村　そうだね。

中川　あのころはお互い寝不足だったよね(笑)。

北村　ちょっと帰って、お互い仮眠して風呂のシーンみたいな感じだったよね。

中川　そうだ、そうだ。気持ちよかったね(笑)。

北村　こうやって〈僕〉とユウスケは同じ時間を過ごしているけど、でも、なんかこのふたりって友情とはまた違うつながり方なのかなって思ったりもした。

中川　なんかヘンなふたりだよね。

北村　そうそう。ユウスケが、亡くなった森くんや〈僕〉のことを覚えてないとか、たぶん同じ空間にいたようで実はいないみたいな感じで。最初にユウスケから〈僕〉に電話がかかってくるところもお互いにそういう入りだったりして。でも、俺と大志が演じたからこそ、つながりが生まれたような感じがしてる。