現状

　どうも、たくやです。もうこのエッセイも月末の風物詩として、みなさまの頭に馴染んで久しい頃だと思います。逆に意外にもいちばん馴染んでいないのが僕です。と言いますのも、このエッセイは月末に新章が出るので執筆自体は20日までには仕上げたいという思いのもと動いておりまして、詰まること10日にはテーマを定め、10日間で完成、その後チェックをいただいたのち投稿という大体のスケジュール感が決まっております。これがいわば理想の動きなのですが、現実は15日に『え！！！　もう15日！？　まだ何を書けばいいのか全然わかんないんだけど！！』と言いつつ執筆は進め、テーマ通り自問自答しているせいで、文章のクオリティがバラバラかつ論文かとツッコミが出るくらい変に深く考えた文章が完成。20日に『あぁぁぁぁぁ、もう一周回ってよくわかんない』となって、より伝わりやすくするにはどうしたらいいかと考えているとスタッフさんからも『原稿いかがでしょうか？』という言葉をいただき、締め切りに焦る売れっ子漫画家のような環境で執筆しています。まあ執筆なんてしているのはこの一つだけですが。そんなこんなで遅れての提出となってしまいます。改めて各方面のみなさまにここで謝罪させていただきます。大変申し訳ございません。改めて思いますけど、エッセイ執筆ってなかなか上達しないですね。

季節

　そして季節は２月です。とはいえ、節分であったりバレンタインであったりイベントに事欠かなかった２月は今日で終わり、いよいよ３月になります。３月でいうと、いよいよ新学期が目前となり、学生たちは春休みを迎えます。近づく未来に期待と不安を寄せつつも、今いる仲間たちと限られた時間の中でめいっぱい思い出を作る頃だと思います。気候も少しずつ暖かくなり、桜も咲き、花見を楽しむほど外出に余裕が出る時期だと思います。しかしみなさま、ここでひとつ３月のイベントをお忘れではないですか？　３月に入っていちばん最初に直面するイベント、それは「ひな祭り」です。そんなひな祭りをただならぬ緊張感で見つめている人間が1人います。僕です。

ひな祭りと僕

　僕にとってひな祭りは幼少期のイベントといった感じで、僕が子供の頃はしっかり家に雛人形やお菓子が並べられていました。とはいえ自分自身これがどういったものなのか、どんな目的で何が起こるのか、あまり理解しないままにぼーっと雛人形を見つめていた記憶があります。そうこうしているうちにハタチを超えてしまった現在、何の気無しにぼーっとデパートに入ると、僕は衝撃を受けました。デパートの入り口からスーパーのコーナーまで、あたり一面ひな祭りのブースとなっていたのです。天井に届くくらい高く並ぶ雛人形、その周りを囲う独特なお菓子、大音量で鳴り響く「あかりをつけましょぼんぼりに〜」の歌詞。僕はその瞬間、ただならぬ緊張感を感じました。ひな祭りというものを深く把握していない僕に対し、ハロウィンやクリスマスと並ぶ規模感で置かれている大量の商品、これは自分だけが理解せずに乗り遅れたイベントなのか、近年に活発化が進んだ新進気鋭のビッグコンテンツなのか、どちらにせよ緊張感で冷や汗が止まりませんでした。

ひな祭り

　ここで一度、ひな祭りとはどんなイベントか思い起こしてください。ひな祭りとは、３月３日に行われる女の子のお祝いです。女の子が元気に育ったことに感謝しつつ、これからも元気に幸せに育ってほしいと言う願いが込められています。つまり女性を災いから守り、幸せを願うという思いで行われているイベントというわけです。そしてひな祭りの季節になると親は子供の“災厄をはらう”という思いで、雛人形を飾るそうです。雛人形には人の身代わりになるという意味合いもあるようで、飾ることでわが子への災いを避けようとする願いもあるとか。さらには、ひな祭りになると雛人形の周りにも様々な飾り付けがあり、お菓子も用意されていることがあると思います。中でも有名なのが『ひし餅』や『ひなあられ』そして『桜餅』ではないでしょうか。それらも上記と同様に子供の元気や幸せを願う目的で作られ、食されているようです。ここまで見るとひな祭りというのは全ての人に向けた行事というよりは、親から子へ願いを込める家族の行事といった印象を受けます。しかし、そんな行事を緊張感を持って見つめている人間が僕です。