普通の生活がいかに幸せなことか

　ストーリーの要所要所に出てくるのが、家族みんなでごはんを食べるシーン。ひとり暮らしの長妻くんも幸せなひとときだったと振り返る。

　「僕自身、家族と離れて暮らしてるので、テーブルを囲んでごはんを食べるシーンは幸せな気持ちになりました。母親役の櫻井淳子さんや父親役のデビット伊東さんにも『家族でごはんを食べるのって久しぶりでうれしい』って言っちゃったくらい(笑)。特別なことじゃないけど普通の生活がいかに幸せなことか、あらためて感じる機会になりました。映画を観てくださる方も、日常の何でもない幸せを作品のなかから感じ取ってもらえたらと思います」

　陽太は、映画に登場するさまざまなキャラクターをノートに描くほどの熱の入れようで将来は映画監督になるのが夢だが、長妻くんも小学生のころは消防士になることが夢だったと懐かしむ。

　「僕の家は、おじいちゃんとお父さんが消防士なんです。小さいころからふたりの姿を見てずっとカッコいいなと思ってました。あと職業じゃないけど、お父さんという立場の人も素敵だなって思います。世のお父さんがどうなのかわからないけど(笑)、大切な家族や子どもたちを守って、家族のために時間を費やしてる人も多いと思うので、そういう生き方もカッコいいですよね。もちろん母親もそうですけど、自分以外の誰かのために尽くして生きることって簡単にできることではないと思うからこそ、すごいことだと思います。映画でも陽太の両親が陽太を守ろうとする姿が素敵でした」